ご機嫌で楽しいことを毎日している人は誰が見たって幸せそうだし、心の健康は病気にもなりにくく、健康な人生を送る確率が高いんだろうなぁと思いませんか?でも、実は必ずしもそうとは限らないんです。いや、そんな筈はない!と思う人が多いと思うので、今日はそれについて書いてみたいと思います。
いつもあなたに寄り添うカラダが送ってくれるメッセージに気づき、認め、育てて行く、そんな新しい自分の生き方を提案するBODY TIPSが想いを込めて伝えるブログ。第8回目です。
目次
毎日どんな幸せで自分を満たしているのか?
言うまでもなく、人の幸せの度合いは定量的に測れるものではないと思います。日々、小さな幸せを感じ、それによって得られる穏やかな心で生きることを大切にしている人は素晴らしいと思います。いつも不平不満が多く、不足感がベースで生きている人とは明らかに日々の満足度に差があるように思います。
しかし、現代社会は多種多様なストレスで溢れており、どんなに毎日を前向きに生きようと思っても、時にはネガティブな状態になることだってあるでしょう。
そんな時、手っ取り早くそこから抜け出て、再びポジティブな状態になるためのお手軽なひとつの方法としてあるのが、物欲や食欲を満たすということ。気の置けない仲間と美味しいものを食べながらワイワイ楽しく過ごすとか、ずっと前から欲しかったちょっと高価なものを「ご褒美」として買ってみるなど。誰にもそんな経験はあることと思います。
そんな手段でも目の前にあることに対して前向きに捉え進むこと、それ自体は間違いなく良い作用をもたらします。そして、そうやって得られる幸せは、健康にも一定のプラスの作用を及ぼします。特に、抑うつ効果との相関関係が高く、はっきりとしたデータとして報告されています。
しかし、そういう幸せをいくら増やしたところで、それは一時的、精神的健康は得られても、カラダの健康には繋がらないということが報告されています。
あなたの幸福度を読み取るカラダの叡智
アメリカの国立アカデミーに今からもう9年も前に寄稿されたある有名な論文があります。それは幸福の種類によって人の免疫細胞が変化するという内容でした。
35歳から64歳までの男女、さまざまな人種の、さまざまな嗜好の人に対して調査され、2種類の幸福が血液中の免疫の遺伝子に対してある相関関係が見出されたのです。その2種類というのはちょっと聞き慣れない言葉ですが、英語で「ヘドニックな幸福」と「ユーダイモニックな幸福」と呼ばれるもの。
ヘドニックな幸福とユーダイモニックな幸福
ヘドニックな幸福というのは、快楽的な幸福と訳され、一時的に目先の欲求を満たすことで得られる自己満足のこと。先ほどのご褒美的な行為がそれに当たります。一方、ユーダイモニックな幸福というのは、徳を積み、自身のよい資質を育み、人や社会に貢献することで得られる喜び、人生の意味を追求するなどから得られる満足感のこと。
調査の結果が衝撃的で、ヘドニックな幸福が日常的に多いと判定された人たちは、炎症に関わる遺伝子の発現が増加し、免疫に関わる遺伝子の発現に低下が見られるのだそうです。
そして、ユーダイモニックな幸福が日常的に多いと判定された人たちはまるでその逆の結果が見られ、炎症系の病気のリスクが低く、ウィルスなどに対する抵抗力が高まり、健康でいられることがわかったのだそうです。
目に前の欲求を満たすような快楽的な行為はよく”ガス抜き”などと言われたりしますが、ストレスフルな人が過食になったりするのも同じかと思われます。自分はそれで一時的な満足感は得られても、カラダはその中身をしっかり見極めて、遺伝子に発現しているということ。
そんなことがこのカラダの中で行われているなんて全く自覚など出来ませんが、カラダにはそんな高いレベルの叡智があるということかと個人的には畏怖の念すら覚えます。
いつも言い続けているように、頭は騙されやすいけれど、カラダはすべてを受け取り、判断できるのだということを改めて感じます。
エピジェネティクスで親子3代に渡って受け継ぐ幸福レベル
このように幸福の中身次第で遺伝子の発現に違いが現れることがわかった訳ですが、これらは言わば後天的な経験の積み重ねにより遺伝子のスイッチをオンにしたり、オフにしたりするということです。決してDNAレベルで書き換えが起こるのではありません。
しかしながら、驚くことはこの遺伝子発現のON/OFFの結果は、自分から見て2世代先まで受け継がれることがハッキリとわかっているということ。
これはDNAレベルに書き込まれた先天的な遺伝ではなく、こういう後天性の獲得形質をエピジェネティクス と言います。以前に書いたブログの中のこれも実はエピジェネティクスに関するものでした。ご興味があれば読んでみて下さい。
とにかく、気をつけなければと思わされてしまうのは、自分の生活環境や生活習慣を数ヶ月変えるだけで、このエピジェネティクスは起こるということが実証されていること。自分を満たす幸せの中身が引いてはカラダの健康にプラスどころか逆の遺伝子発現を起こすことになり、それが自分だけに終わらず、孫の代まで引き継がれるなんて言われたら、真剣に考えなければと思ってしまいますよね。
ウェルビーイング、それは心身ともに健康な生き方
先の研究論文を読むと、ヘドニックな幸福は価値がないように捉えてしまうのですがそうではなく、ユーダイモニックな幸福と共に両方必要なもの。実際、その調査に協力した80人の多くがヘドニックな幸福に属するグループだったとのこと。前述の通り、ヘドニックな幸福も精神的健康には大いに役立つものであり、さらにそれが少ないとユーダイモニックな幸福も減るのだそう。つまり、共生関係にあるということ。
ただ、最近ようやく日本でも頻繁に使われ出した言葉ですが、ウェルビーイングについてこれからの時代はもっとそれを目指して生きていくことが必要かと思います。ウェルビーイングとはまだまだ意味がよくわからないという方も多いかもしれませんが、言葉通り「Wellよく、beingあること」で、シンプルに心もカラダも健康な生き方、人としてのあり方だと捉えればよいかと思います。
コロナなど世界を脅かすことがありましたが、基本的には生存のために生きる時代はとっくに終わり、人生の質を高める時代。テクノロジーも発達し、社会もより豊かになると思っていたら、人と人が分断し、世界が個人主義、自国優先主義になり始め、おかしな方向に進む可能性が垣間見えます。
そんな今だからこそ、自分の中に眠る「善」を見出し、自分はもちろん、自分以外の人のためにそれを注ぐことが必要ではないかと思うのです。ユーダイモニックな幸福は、そんな簡単に手に入れられるものではないかと思うので、一人ひとりが自分と向き合い進む先にいつしか得られる幸福と捉え、気づいたら心身ともに健康だったわ!という感じでよいのではないかと思います。
まとめ
ということで、今日は
- 毎日どんな幸せで自分を満たしているか?
- ヘドニックな快楽的幸福ばかりではカラダの健康が得られにくい
- 日々の幸福度により変化する遺伝子発現は親子3代引き継ぐ
- ヘドニックな幸福もユーダイモニックな幸福も両方必要
- ウェルビーイングについて真剣に考える時代
という内容でお伝えしました。
同じ環境で同じ経験をしたとしても、みんなが同じように遺伝子発現する訳ではありません。最終的にはその経験に対してどう捉え、どう感じ、どう行動するかで遺伝子スイッチがオンになるのかオフになるのかが決まります。もっと言うならば、自分がどう生きるかでこのカラダも、この世界も変わるのです。いとも簡単に!ならば、思い通りに生きましょう!未来は自分で創るんです。
このブログを読んでいただき、よかった!これからも楽しみにしてるよー!って思ってもらえたらこちらで応援してもらえたらうれしく思います。